皆様の家族であるうさぎさんが、万が一介護が必要になってしまった時も、落ち着いてしっかりとケアを行う事で、ある程度状態を維持できると思いますし、楽に生活を送れる様になると思います。

また、介護が必要になってしまったうさぎさんの可愛さは、いままでの健常うさぎさんの時とはまた別の可愛さがあります。

ここでは介護が必要なうさぎさんによくある状態や症状をご紹介致します。


①足腰から弱ってくる

 

うさぎさんが歳をとってくると足腰から弱ってくることもあります。何歳頃から?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、こればかりは個体差がありますので一概には言えませんが、早い子では5~6歳から、稀に原因不明でもう少し若年で足腰が不自由になる子も。

 

●足腰が弱ってきた時の症状

介護が必要なうさぎさんで多いのが、どちらかの足、または両方の足が動きにくくなる状態。片足が内側または外側に向いてしまったり、両足で地面をしっかり蹴ることができず、動きが悪くなった足を軸にぐるぐると回ってしまう事もあります。手漕ぎボートを片側だけ漕いでいる様なイメージです。

 

こうなってしまった時は、左右のバランスが上手く取れず転んでしまったりする事がありますので、頭や目を傷つけない様にしてあげたいです。特にうさぎさんの目は出ているのでケガをしない様にしてあげたいですね。

 

②寝たきり

 

歩けなくなり寝たきり状態になってしまったら、どうしても身体の一部が地面やマットに当たり、血流が滞りそこから褥瘡(じょくそう)になることがあります。酷くなると最悪、骨がみえてしまう事もあります。褥瘡予防の対応としては定期的に体位交換を行います。概ね2,3時間に一度身体の向きを反対にしてあげるだけです。どうしても身体の向きを変えられない時は床に接している部分をさすったり、撫でてあげるだけでも血流効果は期待できます。

もう一つは床に牧草を敷き詰めてみるのもいいと思います。おしっこをしても、汚れた部分だけ取り除けます。ポイントは牧草を敷いたら手で押してみてフワフワになるくらいの厚みが理想です。これはソアホックの時にも使えます。

 

 

 



③食欲の減退

 

高齢になると徐々に食が細くなるうさぎさんもいます。牧草の食いつきが悪くなってきたら、先ずはオーツへイや、イタリアンライグラスなど、牧草の中でもうさぎさんの嗜好性の高い牧草の比率を上げてみるのがいいと思います。イネ科の牧草であれば食べ放題にして頂いて大丈夫です。オーツヘイは甘味もありカロリーも少し高めなので、高齢期にはオススメの牧草です。どうしても牧草を食べなくなってきましたら、ペレ牧をお勧め致します。

※アルファルファの食べ放題はカルシウムが多くオススメはしていませんが、少量でしたら大丈夫です。

 

牧草を食べてくれているうちは、牧草+ペレットと、おやつなどで生活していけますが、いつか牧草やペレットを食べられなくなる、食べなくなる時期が来る事もあり得ます。そうなってきたら第一段階としてペレットを水でふやかして、ペースト状にして食べてもらう様にしていきます。必要に応じてスプーンで介助しながらでもいいでしょう。

 

④強制給餌

 

次のステップになると、自分からは食べるけど、ほんの少ししか食べない、またはほとんど食べない。そうなってきた時は強制給餌を行います。強制給餌はシリンジ(針がない注射器)にペーストにしたペレットを入れて、直接食べてもらいます。うさぎは基本的に口に入ったものは吐き出せない動物なのでこの方法は有効です。初めのうちは1日2回(朝晩)で強制給餌を行っていきます。慣れてきて食べられる様であれば、1日3回にしてもいいと思います。1回の量は体調や個体差がありますが、MAX時の体重が1.8~2.0Kg程度のうさぎさんでしたら、25mlのシリンジ2本くらいが目安になるかと思います。

強制給餌を行ったら最後に水を飲んでもらう事を忘れないでください。口腔内の残渣物を流してくれます。シリンジで飲ませて大丈夫ですがゆっくり行わないと咽てしまいます。

 

強制給餌をやるのなら忘れてはいけない事が1つあります。(食糞出来ない場合のみ)

うさぎさんは食糞をする動物です。盲腸便で身体を作っていると言っても過言ではありません。盲腸便を自分で食べられなくなったら、強制給餌に盲腸便を水で伸ばしてペーストと一緒に食べさせてください。身体の痩せ方が変わってくると思います(痩せにくくなる)。また盲腸便が食べられなくなると必要な栄養も摂れず免疫力低下にもつながっていきますので、非常に大切なものになります。自ら作り出す唯一の動物性たんぱく質で最高のサプリです。

強制給餌のやり方は、左右どちらかの口角からシリンジの先を口に入れていきますが、入れ方があまり浅いと口から出てきてしまいますので、個体差ありますが、概ね15~20㎜程度は入れてあげて舌に載せてあげる感覚がいいと思います。逆に入れすぎは誤嚥に繋がりますので注意が必要です。



③水分摂取

 

元気なうちは自分で水を飲めていても、食べなくなってくると同時に水分も摂らなくなったり、摂れなくなっていきます。

牧草を良く食べる子は水も良く飲みます。身体に取り込む水は、できるだけ純粋な水を飲んでもらいたいです。若いうちから牧草→水→牧草→水のサイクルを作っておくと、そういうサイクルのうさぎさんになっていきます。水を飲むと口腔内の残渣物を飲み込んでくれますので、口腔内がキレイな状態になりますし水分の吸収も早いです。口腔内に残渣物があると、それらが発酵したり細菌が増えて膿瘍(歯茎に膿)が出来てしまったりします。

野菜に含まれる水分は、飲む水分とは別の物と思って頂いてもいいくらい、水分の吸収が違います。野菜は食べ物、水は飲み物ですので飲まなくなってきたら、シリンジなどでお水を飲んでもらうのも一つだと思っています。

④斜頸の対応

 

うさぎさんの病気で特徴的なものとして、頭が傾いてしまう斜頸というものがあります。原因としては、エンセファリトゾーン(カビ)や内耳炎など耳が原因で斜頸になってしまう事があります。早いうさぎさんでは、1歳になる前に発症する事もあります。斜頸であってもそれ以外に症状が無ければ、頭だけ傾いて普通に生活しているうさぎさんもいます。斜頸が原因で亡くなる事はないと言われていますが、食欲減退に繋がる可能性は十分にありますので、その場合は1食だけ強制給餌をするなど、足りない分を補ってあげるのもいいでしょう。

 

もう一つ、斜頸+眼振(目が左右にゆらゆら揺れている)がある場合は座っている事すら出来ず、ローリング(目が回って身体が転がってしまう事)が起きる事があります。四肢で踏ん張っていても身体全体が横に転がってしまいます。人で言えば強烈な眩暈が起きている状態。この場合は板や段ボールなどをV字にしたものを用意して、それにうさぎさんをはめてしまいます。そうすると身体が固定されるので転がってしまうのを防止できます。この状態にできれば食べる事、飲む事はできます。目の前に食べる物を置くと食べてくれるうさぎさんもいますが、強制給餌が必要になる場合もあります。状態に合わせたケアが大切になります。

 



⑤排泄関係

 

尿汚染してしまうとその部分の毛が抜けていきます。常に尿汚染していると尿焼けが起きてお尻から足の辺りの毛が抜けてしまっている子をよく見ます。尿焼けは痛みを伴う事もあるので日々のケアが大切になります。この場合はとにかく清潔を保つしかなく、出来るだけドライな状態にしてあげる事が大切です。お客様で毎日陰部洗浄されている飼い主様もいらっしゃいます。もし可能であれば圧迫排尿を行うと汚染する事がかなり減らせますが、うさぎさんをきちんと診られる動物病院でレクチャーを受けて頂く事をオススメしています。

 

そしてどうにもならない場合には、おむつの使用をオススメしています。尿焼けと盲腸便で汚染してしまう事が防げます。

⑥なぴちゃん家が思う大切なこと

 

うさぎさんはデリケートな部分はありますが、一般的に言われているほど弱い動物ではないと思っています。

ポイントをおさえて気付くべき所は気付いてあげなければいけませんが、こちら側が過保護や神経質になってしまうと、それがうさぎさんにも伝わります。いい意味で肩の力を抜いて日々のケアをしていければ、お互い楽しく過ごしていけると思います。

 

介護が必要になったうさぎさんは不安になっていますので、たくさん触ってあげてください。

 

愛情はうさぎさんにとって一番の薬です。

 

なぴちゃん家は、介護が必要なうさぎさんとその飼い主様のサポートをさせていただきます。うさぎさんの介護でお困りの事がございましたら、ぜひなぴちゃん家へご相談ください!